降雪

しがない受験生が日記と小説を時々書いています

You will happy

 昔、小さな少年がいた。
 年齢は五、六歳だったが、優秀な魔法使いであり、冒険好きでもあった。
 その少年の名は、ユウハ・シェルキといった。
 ユウハの両親が優秀な魔法使いであった為、子供のユウハにその血が受け継がれた。

 ある日、ユウハは両親の目を盗んで近くの森に入った。
 入り口の看板には、“子供は入るな”と書かれてあったが、
ユウハにはそんな看板はどうでも良かった。
 (だって僕は魔法が使えるから、モンスターとかがいても平気だもん!)

 そう思いながら、わくわくしながら森の中へ足を踏み入れた。
 ユウハは何も不安になる事は無かった。
 これまでにも何回か行き、木の実を採ってきたりしては一人で食べていた。
 もしその木の実等を母親か父親に見せると
「危ない所へ入った」と言われて怒られるから、
という理由で森の中にある秘密基地で食べていた。
 秘密基地は、雪のかまくらのような、土のかまくらだった。
 ユウハは、そういうのがとても好きな少年だった。

 森へ入ってから約十分歩くと、秘密基地の前に着いた。
 ここでちょっと休もうかな、と思って中へ入ると、見覚えの無いモンスターが中にいた。
 そのモンスターがユウハに気付くと、攻撃しようとせず、ユウハをじぃ、と見始めた。
「……あれ?」
 ユウハはそう言った。
 ユウハがこの森でこんな姿のモンスターを見たことが無いし、
襲ってこないモンスターを見るのも初めてだった。
 というより、そのモンスターはモンスターではなかった。
 後にユウハは知ることになる、“リュカ族”という、ドラゴンを表す種族だった。
 そのドラゴンの羽が小さい理由は“呪い”にかかっているから、
という事など小さいユウハは知るわけが無い。
 ドラゴンの体はユウハと同じぐらいの約百十センチメートルぐらいで、
頭から背中まで剣山の様なトゲがあった。

 ユウハの口が、勝手に動き始めた。
「名前は?」
 ドラゴンは答えない。
 ユウハが問い続ける。
「もしかして名前とか無いの?」
 ドラゴンは何も、示さなかった。
「ねぇ、どっちかで答えてよ、名前あるの?」
 ドラゴンは首を小さく横にふった。
「じゃあ、名前無いの?」
 ドラゴンは頷いた。
「それだったら、僕が付けてあげようか?」
 ドラゴンは何の反応も示さない。
「ねー、どっちか答えてよぉ」
 ユウハはわざとらしく迷惑そうな顔をした。
 ドラゴンはその顔を見ると、こくんと頷いた。
「付けてほしいんだね? じゃあねぇー」
 と言ってユウハは考え始めて、しばらくするとこう言った。
「じゃあねぇ、僕と同じ名前の『ユウハ!』
 確か、『ユーウィルハッピー』っていう英語があって、その意味は、
『あなたは幸せになるでしょう』って意味なんだって。
 それで、ユーウィルハッピーを略したのが『ユウハ』なんだって!」
 少年のユウハは、自分の名前の由来を、誇らしげに一気に喋った。

「もしかして、君、独りぼっち?」
 ドラゴンは頷いた。
 少年のユウハは嬉しそうに、こう言った。
「じゃあ、ユウハに決まりだね!」

 少年のユウハは、独りぼっちで寂しいと思われるこのモンスターに、
幸せになってほしかった。心からそう願っていた。

 少年のユウハがそう思っているとドラゴンのユウハのお腹から、
“グゥ”というお腹が減っている音が聞こえた。
「……何か木の実採ってこようか?」
 ドラゴンのユウハは少しためらったが、こくんと頷いた。
「じゃあ採ってくるから、ちゃんとここで待っててねー!」
 少年のユウハはそう言い残し、秘密基地を出ようとしたが、
ドラゴンのユウハが少年のユウハの後ろについた。
「来てくれるの? じゃあ、一緒に行こう!」
 少年のユウハはそう言うと、笑顔をドラゴンのユウハに見せた。
 この時、ドラゴンのユウハが初めて笑顔を見せた。

 二、三分歩くと、一本だけ、二つ、
赤い色をした木の実がなっている木を二人は見つけた。
 少年のユウハが風の魔法を使って木の実を落とそうとすると、
二人に気付いたのか、三匹、チーターの様なモンスターが出てきた。
 それを見た少年のユウハは木の実を採る前にやっつけよう、と思った。
 相手の身体は身軽そうだったのでジャンプしてもかわされない攻撃をと思い、
少年のユウハは素早く魔法を唱えた。
 土の氷柱が下から三本出て、とがった部分が三匹のモンスターに命中し、突き刺さった。
 二匹のモンスターは逃げ出したが、残りの一匹が真正面から二人に突進してきた。
 少年のユウハが慌てて魔法を唱えようとすると、ドラゴンのユウハが恐い顔をすると、
右手の手を大きくして大きな爪でモンスターを攻撃した。
 そのモンスターは倒れたが、なんとか力を振り絞って逃げていった。
 少年のユウハはドラゴンのユウハに、きらきらした目でこう言った。
「強いんだね、すごーい!」
 ドラゴンのユウハは、少し照れた顔を見せた。
 その後、少年のユウハは木に登り、木の実を採って、二人で秘密基地に帰った。

 二人で一つずつ、食べた。二人にはとても美味しかった、甘くて美味しかった。
 ドラゴンのユウハは、笑顔で幸せそうに食べていた。
 少年のユウハも、幸せそうに食べていた。
 少年のユウハは、ドラゴンのユウハの幸せそうな顔を見ることが出来て、とても嬉しかった。

 だがそんな幸せな時間は長続きしなかった。
 二人が木の実を食べ終わった直後、銃を持った男が入ってきて、いきなりこう言った。
「そのドラゴンは裏切り者だ。リュカ族の裏切り者だ」
 男がそう言うと、少年のユウハ意味が分からなく、呆然と男を見ていた。
 少年のユウハは“裏切り”という言葉を知らなかった。
 ドラゴンのユウハは怯えた目で男を見ていた。銃を持っていたからだった。

「まぁ、裏切ったというより、たまたまなんだろうけどな、お坊ちゃん。
 隣に居るそのドラゴン、雲の上から落っこちちゃったんだな。
 落っこちたから、足を地面に触れさせてしまった。だから、呪いを受けたんだ。
 そういう理由で『裏切り者』になっちゃって、『呪い』を受けてしまったんだよ。
 呪いを受けてしまったら、その子の様に羽が小さくなるだけじゃない。
 すぐに死んじゃうんだ。
 ……お坊ちゃん、『死ぬ』ってどういうことか分かる?」

 少年のユウハは真面目な顔をして頷いた。
「へぇ。じゃあ、早く死ぬって事は、幸せになれないっていうことは?」

 少年のユウハは目を丸くした。
 この人が言っていることは、間違っている、と。そう思った。
 (だって、ユウハあんなに嬉しそな顔をしてたもん――――――――)

「分からないのかい? まぁ、きっといつかは分かると思うけどねぇ」

 少年のユウハは、口が動いて大声で男に向かい、怒った顔をしてこう言った。
「違う、早く死ぬとしても幸せになれる!」

「そう?いつかは分かるとおもうんだけどなぁ。
 まぁいいや、早くこの子を楽にさせてあげようか」
 そう言った男は銃を右手で持ち直した。
 二人のユウハはこの男が何をしようとしているかすぐ分かった。
 だが、少年のユウハは制しようとしたが、遅かった。

 ドラゴンのユウハのお腹に、命中してしまった。
 涙が溢れ出るのを、少年のユウハは感じた。
 頬に伝わっている。唇にも伝った。しょっぱかった。
「てめぇ……てめぇ!」
 少年のユウハは素手で男を一発殴り、
地を流して倒れているドラゴンのユウハの元へ駆け寄った。
「ユウハ……ユウハぁ!!」

 ドラゴンのユウハは両目から一筋の涙を流すと、微笑んでから、目を閉じた。
 少年のユウハが後ろを振り返ると、男はもういなかった。

 少年のユウハは涙を流しながら、
ドラゴンのユウハを秘密基地の奥に埋めて、お墓を創った。
 外へ出るとすぐ傍に赤い花が二輪咲いていた。
 それを秘密基地に持って入り、お墓の横に置いた。涙は止まっていた。

 少年のユウハが家に帰ると、母親が心配そうな顔をして、言った。
「おかえり、どこへ行ってたの?」
「えっと、部屋の窓から帽子が飛んじゃったから、それ探しに行ってた」
 少年のユウハは嘘をついた。
 怒られるのが怖かった。
「……そう。無事で良かったけど、今度からはちゃんとお母さんかお父さんに言ってね?」


 少年のユウハは、やがて旅に出た。
 両親に言わずに、九歳頃に旅に出た。
 ドラゴンのユウハのことを知りたかった、という理由もあるが、敵討ちという理由もあった。
 ドラゴンのユウハを殺した、あの男を、倒す。

 心の中でそう誓い、少年のユウハは旅に出た。

≪ 第二十四話ホームタイトルなし ≫

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リルボ

Author:リルボ
性別:♀ 年齢:14歳
学年:中3 血液型:O型
誕生日:12月29日(山羊座)
部活:元ソフトテニス部
総合体育大会が終わって引退しました
生息地:関東のどこか
出身地:中部地方の関西寄り
特徴等:上がり性、花粉症、
人と乗り物に酔う、妄想好き、
たとえ暑くても日光に当たると眠たくなる時があるetc.

一言:だらだら食い最高!

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