第二十四話
ヒドウはゲンに戻ることが出来て安心した。
謎の声の事も気になったが、安心の方が大きかった。
しかし、その安心感はすぐに消えてしまう。
(え……あれ、ウチいつ離した?)
右手で握っていたはずのズースが無い。
(さっきの所で落としたとか……?)
ヒドウは徐々に焦り、その場に座ってしまった。
「フフ、フフフ……フフッ」
ディグバの声。
ヒドウの耳にその声が入ると、ディグバが黒いローブをまとってヒドウの前に現れた。
「実はね、ズースは僕が持っているんだ。
それと……そのモラ、時の鍵を誤動作させたのも僕なんだ。
モラはズースに埋め込まない限り……勝手には動かないからね、
君に昔のギラを見てもらう為に、ね。そのモラは過去を見せる力を持っているからね」
ディグバはここまで言い終えると、ヒドウを睨むように見た。
ヒドウも睨みつけるようにディグバを見たが、
“怯えている目を見られたくない”という見せかけの強さだった。
ディグバはヒドウの目を見て偽りの強さと見抜いたのか、憫笑しながらヒドウに言う。
「強がり屋さんなんだね」
ヒドウは言う言葉が無くて黙っていた。
ディグバはまだ笑った顔をしながら続けて言う。
「そうだねぇ、モラを八つ、全部そろえたらズースを返してあげてもいいかな。ズースを君が持っていると僕の邪魔をされそうだし。君が全てのモラを手に入れたなら、君の力を認めてあげる。ズースはモラを全て持った人を主人と認め、本来の力を発揮する。だから、君がこのズースの主人になるまで僕が預かっておくというわけで。時は再開させておくから。ほら、岩の鍵と砂の鍵。じゃ」
そう言い終えたディグバは二つの鍵をヒドウに投げて消えた。
ヒドウは二つの鍵を鞄にしまうと、鈍い音がした。
ヒドウは意識が無くなって倒れた。それと同時に“時”が“再開”された。
ヒドウは目を覚ますと、ソルミュウの家のベッドで寝ていたことが分かった。
「あれ……?」
ヒドウが起き上がると、「大丈夫?」というソルミュウの声が聞こえた。
心配そうな顔ではなく、笑顔を作っている。
ヒドウもなんとか笑顔を作って「あ、はいすいません」と答えた。
隣にあった小さい机の上には、ヒドウの鞄が置かれてあった。
机の向こう側でスノフォはソルミュウの祖母と話をしている。
ヒドウの耳にはどんな会話をしているのかは聞こえなかった。
「いえいえ。そういやズース、どうしたの? なんかあなたが持ってたと思うんだけど、いつの間にか無くなってたけど……」
ソルミュウが心配そうな顔をした。
ヒドウはつとつと、とディグバのことだけを話した。
昔のギラへ行ったことは同じヒュリィ族であるソルミュウにはどう言えばいいのか分からなかったし、どんな風に思われるのかが怖かったからだ。
ヒドウが全て話し終えると、すぐにソルミュウが口を開いた。
ヒドウと同じように、つとつと、と話し始めた。
「……あのね、我が家は聖魔道士を受け継ぐと同時に、
ズースの話が残っていて、こんな話があるのね。
ズースは主人を選ぶの。この世界にある、八つのモラを全て集めた人を本当の主人、とね」
「あ、ウチもディグバから聞きました」
「そうだったの? でね、そのズースはね、本当の主人が現れない限り壊れることは無いの。だからね、壊される心配は無いから安心してもいいと思う。盗まれたのはズースだけよね?」
「はい……鍵は返してもらいました」
「……そう、なら私も安心した」
ソルミュウは、にっこりと笑ってみせた。
「このこと、私のお婆ちゃんには内緒ね」
にっこり笑ったままでソルミュウは言う。
「え?」
「私のお婆ちゃん、本当は心配性でさ。このこと話したら何かごちゃごちゃ言いそうだから……ね」
ヒドウはソルミュウと一緒に苦笑した。苦笑ではない笑いも入っている。
「じゃあさ、スノフォさんだっけ?スノフォさんには私が話しておくから、あなたは外に出て散歩でもしに外へ出たら?」
「あ……じゃあお言葉に甘えて」
ヒドウはベッドから出てソルミュウに軽く頭を下げて、まだ話しているスノフォとソルミュウの祖母に「少し外に出てきます」と言って、玄関の扉を開けて外へ出た。
風が、冷たく感じられた。けれども強く吹く風が気持ち良くて、玄関の扉を閉めてから大きく深呼吸をした。
(あー……やっぱりこういう店もあるんだ)
とりあえず真っすぐに進んでいったヒドウは周りにあった家と同じ、木で出来ている小さな武器屋と思われる店が目に入った。
その店の左にはヒドウよりも小さい木の看板が立っていて、剣と盾の絵が描かれている。
(そういやズース無いんだよね……)
ヒドウは看板の絵を見て、店に売っている本物の剣に目がいく。
自分の武器が、無くなった。だったら、新しい武器を手に入れねばならない。
なんとなく、そう思った。
「お前、旅人か?」
ヒドウの耳に、男の声が聞こえた。
声がしたほうを振り返ってみると、後ろに自分と同じぐらいの背をした少年がいた。
歳も同じぐらいに見えて、怖い感じは無かった。
なんだろうこの人、と思った。
「あ、はい」
人見知りのせいなのか、冷静な顔をしながらも声には緊張が表れている。
「そうなんだ。何を見てたの?」
「あの店……を」
「や、それは分かるけどさ。剣?」
「あ……うん」
「ふーん……。何か新しい武器でも欲しいの?」
「そうだけど、お金があるわけでもない、し」
ヒドウはそこまで言って、苦笑しようとしたがやめた。
会ったばかりの人に、簡単に顔は動かない。
「ふーん。まぁ頑張って、金を稼ぐしかないんだね。じゃ」
そう言うと、少年は走って武器屋とその店の隣の家の隙間を通り抜けていった。
ザッザという砂の上を走る音が聞こえなくなると、ヒドウは小声で「さよなら」と言った。
もちろん届くはずはないと分かっていたが、一応言っておきたかった。
ヒドウはさよならと言った後、しばらくしてソルミュウの家へと戻った。
以下あとがきです。
多分今月の小説更新は最後になりますです。
中間テストの勉強頑張ってきます。
リヴリーを飼っている方は餌を与えて下さると幸いです。
PC禁止令は出ますが、なんとか携帯から日記は更新します。
明後日8日の試合の個人戦、「楽しかった」という試合で終わりたいと思います。
では。ノシ
謎の声の事も気になったが、安心の方が大きかった。
しかし、その安心感はすぐに消えてしまう。
(え……あれ、ウチいつ離した?)
右手で握っていたはずのズースが無い。
(さっきの所で落としたとか……?)
ヒドウは徐々に焦り、その場に座ってしまった。
「フフ、フフフ……フフッ」
ディグバの声。
ヒドウの耳にその声が入ると、ディグバが黒いローブをまとってヒドウの前に現れた。
「実はね、ズースは僕が持っているんだ。
それと……そのモラ、時の鍵を誤動作させたのも僕なんだ。
モラはズースに埋め込まない限り……勝手には動かないからね、
君に昔のギラを見てもらう為に、ね。そのモラは過去を見せる力を持っているからね」
ディグバはここまで言い終えると、ヒドウを睨むように見た。
ヒドウも睨みつけるようにディグバを見たが、
“怯えている目を見られたくない”という見せかけの強さだった。
ディグバはヒドウの目を見て偽りの強さと見抜いたのか、憫笑しながらヒドウに言う。
「強がり屋さんなんだね」
ヒドウは言う言葉が無くて黙っていた。
ディグバはまだ笑った顔をしながら続けて言う。
「そうだねぇ、モラを八つ、全部そろえたらズースを返してあげてもいいかな。ズースを君が持っていると僕の邪魔をされそうだし。君が全てのモラを手に入れたなら、君の力を認めてあげる。ズースはモラを全て持った人を主人と認め、本来の力を発揮する。だから、君がこのズースの主人になるまで僕が預かっておくというわけで。時は再開させておくから。ほら、岩の鍵と砂の鍵。じゃ」
そう言い終えたディグバは二つの鍵をヒドウに投げて消えた。
ヒドウは二つの鍵を鞄にしまうと、鈍い音がした。
ヒドウは意識が無くなって倒れた。それと同時に“時”が“再開”された。
ヒドウは目を覚ますと、ソルミュウの家のベッドで寝ていたことが分かった。
「あれ……?」
ヒドウが起き上がると、「大丈夫?」というソルミュウの声が聞こえた。
心配そうな顔ではなく、笑顔を作っている。
ヒドウもなんとか笑顔を作って「あ、はいすいません」と答えた。
隣にあった小さい机の上には、ヒドウの鞄が置かれてあった。
机の向こう側でスノフォはソルミュウの祖母と話をしている。
ヒドウの耳にはどんな会話をしているのかは聞こえなかった。
「いえいえ。そういやズース、どうしたの? なんかあなたが持ってたと思うんだけど、いつの間にか無くなってたけど……」
ソルミュウが心配そうな顔をした。
ヒドウはつとつと、とディグバのことだけを話した。
昔のギラへ行ったことは同じヒュリィ族であるソルミュウにはどう言えばいいのか分からなかったし、どんな風に思われるのかが怖かったからだ。
ヒドウが全て話し終えると、すぐにソルミュウが口を開いた。
ヒドウと同じように、つとつと、と話し始めた。
「……あのね、我が家は聖魔道士を受け継ぐと同時に、
ズースの話が残っていて、こんな話があるのね。
ズースは主人を選ぶの。この世界にある、八つのモラを全て集めた人を本当の主人、とね」
「あ、ウチもディグバから聞きました」
「そうだったの? でね、そのズースはね、本当の主人が現れない限り壊れることは無いの。だからね、壊される心配は無いから安心してもいいと思う。盗まれたのはズースだけよね?」
「はい……鍵は返してもらいました」
「……そう、なら私も安心した」
ソルミュウは、にっこりと笑ってみせた。
「このこと、私のお婆ちゃんには内緒ね」
にっこり笑ったままでソルミュウは言う。
「え?」
「私のお婆ちゃん、本当は心配性でさ。このこと話したら何かごちゃごちゃ言いそうだから……ね」
ヒドウはソルミュウと一緒に苦笑した。苦笑ではない笑いも入っている。
「じゃあさ、スノフォさんだっけ?スノフォさんには私が話しておくから、あなたは外に出て散歩でもしに外へ出たら?」
「あ……じゃあお言葉に甘えて」
ヒドウはベッドから出てソルミュウに軽く頭を下げて、まだ話しているスノフォとソルミュウの祖母に「少し外に出てきます」と言って、玄関の扉を開けて外へ出た。
風が、冷たく感じられた。けれども強く吹く風が気持ち良くて、玄関の扉を閉めてから大きく深呼吸をした。
(あー……やっぱりこういう店もあるんだ)
とりあえず真っすぐに進んでいったヒドウは周りにあった家と同じ、木で出来ている小さな武器屋と思われる店が目に入った。
その店の左にはヒドウよりも小さい木の看板が立っていて、剣と盾の絵が描かれている。
(そういやズース無いんだよね……)
ヒドウは看板の絵を見て、店に売っている本物の剣に目がいく。
自分の武器が、無くなった。だったら、新しい武器を手に入れねばならない。
なんとなく、そう思った。
「お前、旅人か?」
ヒドウの耳に、男の声が聞こえた。
声がしたほうを振り返ってみると、後ろに自分と同じぐらいの背をした少年がいた。
歳も同じぐらいに見えて、怖い感じは無かった。
なんだろうこの人、と思った。
「あ、はい」
人見知りのせいなのか、冷静な顔をしながらも声には緊張が表れている。
「そうなんだ。何を見てたの?」
「あの店……を」
「や、それは分かるけどさ。剣?」
「あ……うん」
「ふーん……。何か新しい武器でも欲しいの?」
「そうだけど、お金があるわけでもない、し」
ヒドウはそこまで言って、苦笑しようとしたがやめた。
会ったばかりの人に、簡単に顔は動かない。
「ふーん。まぁ頑張って、金を稼ぐしかないんだね。じゃ」
そう言うと、少年は走って武器屋とその店の隣の家の隙間を通り抜けていった。
ザッザという砂の上を走る音が聞こえなくなると、ヒドウは小声で「さよなら」と言った。
もちろん届くはずはないと分かっていたが、一応言っておきたかった。
ヒドウはさよならと言った後、しばらくしてソルミュウの家へと戻った。
以下あとがきです。
多分今月の小説更新は最後になりますです。
中間テストの勉強頑張ってきます。
リヴリーを飼っている方は餌を与えて下さると幸いです。
PC禁止令は出ますが、なんとか携帯から日記は更新します。
明後日8日の試合の個人戦、「楽しかった」という試合で終わりたいと思います。
では。ノシ
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